他動詞が「コツンと当たる感覚」ならば、自動詞は「どこにもコツンと当たらない全方位に動く感覚」です。
自動詞は、目的語を取らずに完結したり、前置詞を伴ってその在り方が定まったりする、というイメージを持ちましょう。
今日は、そんな自動詞について学んでいきます。
自動詞は主語と動詞だけで成り立つ最もシンプルな構造
1 Everybody dies.
2 My father works.
3 My mother relaxes.
4 My sister sleeps well.
5 I run.
1 誰もが、死ぬ。
2 僕の父さんは、働く。
3 僕の母さんは、くつろぐ。
4 僕の姉さん(妹)は、よく眠る。
5 僕は、走る。
1から5の例文で使われている自動詞は、どこにもコツンと当たらずに完結しています。このように、どこにもコツンと当たらずに完結してしまうのが、自動詞です。
4番だけ、My sister sleeps well.とwellがついていますが、これは、動詞がコツンと当たっているわけではありません。眠る状態を説明しているだけで、目的語になっているわけではありません。目的語になれるのは名詞です。wellは副詞です。
sleepを他動詞として使う場合は、たとえば以下のような英文があります。
Our house sleeps 6 comfortably.
「我が家は、6人を快適に泊められます」つまり、「当ハウスは、6人分の寝室があります」ということです。この英文は、私がイギリスのゲストハウスで見かけたものです。
このcomfortablyはwellと同じように副詞で、この場合は「快適に」という意味になります。この文におけるsleepの目的語は6です。この場合の6は「6人」という名詞で、これが目的語になります。sleepが「6人」にコツンと当たって「泊められる」という他動詞になっています。
一方、My sister sleeps well のほうは、wellが動詞sleepsを説明しているだけです。つまり、sleepsがwellにコツンと当たっているのではなく、wellのほうがsleepsを説明する関係になっているわけです。このように、副詞には動詞を説明する働きがあります。
大半の動詞がこのsleepの例のように、他動詞にも自動詞にもなり得ます。ただ、他動詞的に使われるほうが圧倒的に多いとか、自動詞として使われるほうが多いとか、偏りがあるのが普通です。ちなみに、sleepは自動詞として使われるほうがはるかに多いです。
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自動詞に方向を与える前置詞の働き
先ほど挙げた5つの例文のうちの「I run.」を参考にして、前置詞について考えてみます。I run.だけですと「僕は走る」で完結しています。しかしそこに前置詞が加わると、runが方向性を与えられるのです。
前置詞forを使った例
I will run for the doctor. 僕が医者を呼んでくるよ。
前置詞forはtoよりも幅広い方向を示します。医者のいる方角に向かって走っていくイメージです。
Run for the cellar! 地下室へ走りなさい!
オズの魔法使いで竜巻から逃れるために、叔母さんがドロシーに向かって叫ぶセリフですね。
前置詞toを使った例
I ran to the park. 僕は公園まで走った。
一般動詞runの過去形がranになります。toは到達感の強い前置詞です。前置詞forよりも「的を絞った感」があります。
I had to run to the station. 私は駅まで走らなければならなかった。
公園も駅も、どちらも具体的な場所に走っていく(到達する)イメージです。
前置詞intoを使った例
I ran into debt. 私は借金を負った。
前置詞intoは「到達感+狭いところに入り込んでいく」イメージです。負債の中に入り込んでいった、という感じですね。
I often run into her at the supermarket. 僕はそのスーパーマーケットでよく彼女と会う。
上記のように、ばったり出くわす感じが、前置詞intoを使うことで表現できます。
前置詞inを使った例
I run in the park every morning.僕は朝早くその公園を走ります。
前置詞inは「~の中に」をあらわします。公園という空間の中で走っている姿を想像してください。
You must not run in this room. あなたたちはこの部屋では走ってはいけません。
親が子供たちに言いそうな台詞です。
前置詞はたくさんあり、ここではその一部を紹介しただけですが、自動詞と結びつくことで方向性を与える働きがあることを覚えておきましょう。