動名詞は、不定詞同様、動詞を名詞化したものですが、不定詞との最大の違いは、前置詞の目的語になれる点です。たとえば、来てくれてありがとう、という意味のThank you for coming.などが、それに当たります。
今日はそんな動名詞を、あっさりと理解しましょう。
動名詞と不定詞で意味が変わる動詞がある
Don’t forget to turn off the right.
ライトを消すのを忘れないでね。
He forgot to answer the mail.
彼はそのメールの返事を忘れた。
I will never forget meeting you.
あなたに会ったことは忘れません。
As long as I live, I will never forget visiting Egypt.
生きているうちは、エジプトに行ったことを忘れないだろう。
動詞forgetを例にとると、上記のように、不定詞のときと動名詞のときでは意味が変わってきます。不定詞のほうは、「しなければならないこと」をあらわし、動名詞のほうは、「過去にしたこと」をあらわしています。
このことは、以下の例文で示した、動詞rememberについても、同じことが言えます。
Please remember to write to me.
僕に手紙を書くのを忘れないでくださいね。
Remember to lock the door.
ドアに鍵をかけるのを忘れるな。
I remember hugging her.
僕は、彼女を抱きしめたことを忘れない。
He remembers being the best Volleyball player of the year.
彼は、バレーボールの年間最優秀選手だったことを覚えている。
ただ、不定詞と動名詞で意味が変わる動詞はあまりないので、初心・初級者の方であれば、この二つの動詞だけを覚えておけば問題はないでしょう。
動名詞のときに力を発揮する動詞
動名詞のときに力を発揮する動詞とは、ありていに言えば、不定詞を目的語には取れない動詞ということになります。その代表が、「やめる系の動詞」です。
やめる系の動詞とは、動作や行動をやめる、終わりにする、といった動詞のことです。代表的なものには、finish, give up, quit, stopなどがあります。
I finished writing the letter.
僕はその手紙を書き終えた。
I gave up keeping up with trends.
僕は、流行についていくのをあきらめた。
私自身、50歳を過ぎたころから、完全に世間の流行などには疎くなりました。give upには、やめるという意味のほかに、あきらめる、という意味もあります。プロレスで「まいった」をするときの、あのギブアップですね。
I quit drinking alcohol two years ago.
僕は、2年前に酒をやめた。
It stopped raining.
雨が、止んだ。
上記の動詞finishを除く3つの動詞は、いずれも、以下のように使うことが可能です。
I gave up smoking
I gave up drinking.
I quit smoking.
I quit drinking.
I stopped smoking.
I stopped drinking.
喫煙や飲酒などの、習慣的行為をやめたと言いたいときには、上記3つのいずれの動詞を使っても構いません。
「やめる系の動詞」以外で、動名詞だけを目的語にとる動詞としては、他に、avoid, enjoy, keep, mindなどがあります。
I avoided getting injured.
僕は、怪我をするのを免れた。
I enjoyed playing tennis.
僕は、テニスを楽しんだ。
I kept drinking too long last night.
昨夜、私は長い時間飲み過ぎた。
Would you mind helping me?
手伝っていただけますか?
上記の動詞は、いずれも目的語は動名詞しかとれません。つまり、Would you mind to help me?とは言えないということですね。
動名詞も不定詞も目的語にとれる動詞
I began to practice karate.
I began practicing karate.
僕は、空手を習い始めた。
I like to go to the karate school.
I like going to the karate school.
僕は、その空手スクールに行くのが好きだ。
I hate to run.
I hate running.
僕は、走るのが嫌いだ。
「やめる系の動詞」が、動名詞しか目的語にとれなかったのに対し、「始める系の動詞」は、動名詞も不定詞も目的語にとれることを覚えておきましょう。また、好き、嫌い、などの動詞も、動名詞も不定詞も目的語にとることができます。
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動名詞が使われる位置と注意点
動名詞は、動詞が名詞化したものですが、使われる位置としては4つあります。それらは、主語、動詞の目的語、前置詞の目的語、そして補語です。
Practicing karate is good for the health. (主語の位置)
空手を練習することは健康に良い。
We kept watching his karate match. (動詞の目的語の位置)
私たちは、彼の空手の試合を見守った。
I’m sorry for being late yesterday. (前置詞の目的語の位置)
昨日は、遅れてすいませんでした。
One of his hobbies is playing Mah-jongg. (補語の位置)
彼の趣味の一つは麻雀をすることです。
上記4か所にある、それぞれの動名詞の働きを理解しておきましょう。動名詞が使いこなせるようになると、以下のような英文にも展開できます。
Practicing karate is also my way of relieving stress.
空手の練習は、僕のストレス発散の手段でもある。
動名詞が名詞を修飾しているケースは単数扱い
Cutting trees is his job.
木を切ることは彼の仕事です。
Trimming the tree branches in the garden is also his job.
庭の木の枝を刈り込むこともまた、彼の仕事です。
上記2例文を見ていただけばわかるように、動名詞に修飾されているそれぞれの名詞、treesもbranchesもともに複数形ですが、受けている動詞はisですね。このことからわかるように、「木を切ること」「庭の木の枝を刈り込むこと」という動名詞が主語なのです。
つまり、動名詞が名詞を修飾しているケースでは、たとえその修飾されている名詞が複数形であっても単数扱いになるということです。